炭酸ガスって何がすごいの?

一般的に「炭酸」といったら、炭酸飲料を思い浮かべる方がほとんどではないかと思います。最近は、炭酸水を飲む健康法なども話題になったりしていますが、飲料のみならず「炭酸ガス」を含んだ化粧品も続々とラインアップされています。
ブームの理由は、「炭酸ガス」の効果が科学的にも証明されていること。そして自然界に存在する、身近な物質であるということが大きいといえます。
そもそも「炭酸ガス」とはどんなものなのでしょう?まずは、基礎的なことをおさらいしてみましょう。

灯台下暗しな炭酸ガスパワー

炭酸ガスは、「二酸化炭素」「CO₂」とも呼ばれ、私たち人間にはとても身近な存在です。生物が吐き出す息にも含まれていますし、物を燃やした後には必ず発生します。また、光合成に利用されるなど植物の成長には欠かすことができません。
気体が炭酸ガス、固体がドライアイス、液体が液体二酸化炭素、水溶液は炭酸・炭酸水と呼称が変わりますが、誰もが触れた経験があり、多方面で広く活用されている、地球上で最も代表的な炭素の酸化物です。
炭酸ガスの身体への影響としては、血行促進1)が確認されています。液体に溶け込んだ炭酸ガスは分子量が非常に小さく、皮膚から浸透すると毛細血管にまで届くという性質を持ち、炭酸ガスが入った血管は広げられ、血流を促すという仕組みです。血液のめぐりが良くなれば細胞へ十分に酸素や栄養が運ばれ、お肌は本来のチカラを取り戻し、すこやかに育くまれるようになります。その結果、美肌になれるという循環を生み出すのです。
単なる呼吸の老廃物と思われてきた炭酸ガス(二酸化炭素)ですが、生命活動において重要な役割を果たしている基本物質のひとつであり、他方、美容的観点からは、乾燥やくすみなど様々な肌悩みの改善をサポートしてくれる注目物質なのです。

医療でも使われる炭酸ガス

ヨーロッパでは、ローマ時代からすでに炭酸泉が利用されていた記録が見られ、現在まで天然の炭酸泉を使った高血圧や循環器疾患への治療2)-4)が広く行われており、人工的な炭酸ガスを用いての褥瘡(じょくそう)や皮膚潰瘍などの治療5)6)報告もあります。日本にも温泉は多くありますが、炭酸ガスは高温のお湯には溶けにくい性質があり、温度の高い日本の温泉には、高濃度に炭酸ガスが溶け込んでいる温泉があまり存在していませんでした。しかし、近年では高濃度の炭酸泉を人工的に製造する技術の開発が進み、日本でも医療の分野などで、その活用が広まり始めています。
温泉の場合は、炭酸濃度が250ppm以上だと天然炭酸泉、1000ppm以上であれば治療効果のある療養泉と言われています。ラムネ湯とも呼ばれる炭酸の泡のシュワシュワが楽しめる、いわゆる炭酸温泉は遊離炭酸(二酸化炭素)が1,000mg以上含まれている(=1000ppm)ことが基準です。

炭酸ガスが血行を促進するメカニズム

液体に溶け込んだ炭酸は、非常に小さい分子構造のため、炭酸泉に浸かることで皮膚から浸透し、毛細血管内に入っていきます。毛細血管は、吸収された二酸化炭素を老廃物とみなし、酸素を取り入れようと「プロスタグランジンE2」という、血管拡張ホルモンを分泌します。これにより血管が拡張され、血流量が増加し、酸素を全身に運搬する酸素化ヘモグロビンが供給されます。この酸素化ヘモグロビンが、余分な二酸化炭素を取り込む代わりに酸素を放出して皮膚組織へ供給することで細胞が活性化します。すると患部の組織再生や新陳代謝が促進され、先に述べたような傷やケガの治療6)に効果を発揮すると考えられています。また、血液循環がよくなることで、血管や心臓への負担が軽くなるため、炭酸浴をくりかえすことで徐々に血圧を下げる7)ことができることも分かってきています。このような炭酸の効能に関する研究は現在進行形で進んでおり、今後ますますの発見が期待されているのです。

炭酸ガスが肌にもたらす効果

前述で、炭酸ガスが血行を促進するメカニズムについて説明しましたが、ここからが本題。炭酸ガスがもたらす、スキンケア効果について。炭酸ガスを含む化粧品を使うことで、①潤いが出る ②柔らかくなる ③滑らかになる ④肌触りが良くなる ⑤弾力が出る ⑥明るくなる などなどの効果検証報告8)がなされています。弊社でも、複数のボランティア被験者の協力のもとに、美容液に炭酸ガスを溶解させた泡状の美容液を用いて、スキンケア効果を確認していますが、メカニズムの根底には、炭酸ガスが毛細血管まで取り入れられることで血行が促進することが関与していると考えています。

身近なだけに、普段あまり意識することのない物質「炭酸ガス」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
炭酸ガスのパワーを知り、肌や身体のケアに取り入れていただけたら嬉しいです。

1)Ghr.Bohr,K.Hasselbalch, August Krogh et al., Arch. Physiol., 16,401-412(1904)
2)中嶋正明 他、理学療法学, 31(Supplement_2),176(2004)
3)上田理彦 監修,野口冬人,“温泉療法入門゛,三晃書房(1983)
4)多田祐輔 監修,“閉塞性動脈硬化症診断の実際”,文光堂(2002)
5)平野総合病院2004年03月論文
6)吉備国際大学保健科学部理学療法学科 (2007.5)
7)前田 眞治,日本温泉気候物理医学会雑誌 75(1), 24-26, 2011-11-24
8)小林由佳,棚橋昌則, FRAGRANCE JOURNAL, 7,16-19(2015)